ゼロから学ぶIR活動その3 ~株主について知ろう~

IRってなんだろう?ゼロから学ぶIR活動、今回は株主について説明します。

はじめに

前回、IR活動は投資家(株主)と対話すること、と説明しました。
相手を知るほど深い対話もできるというものです。株主について少し掘り下げてみましょう。

株主って

株を買った人が株主です。
株を買う行為を出資、集まったお金は出資金と言います。

ちなみに出資で集めたお金って返さなくていいのです。すごいですよね、普通お金を借りたら返さないといけないのに・・・なんででしょう?

法律上の会社の所有者は「株主」です。
つまり、株を買うということは「会社を買う」とも言えます。投資家は会社にお金を貸してるわけじゃなくて、会社を買ってたんですね。そりゃあ返さなくってもよいわけです。
もしあなたが会社の株を100%買うことができたら、その会社はあなたのものです。50%だったら半分あなたのものです。ただし出資したお金は戻ってきませんから、これはもう会社に一生懸命稼いでもらわないと困りますね。
だから株主は会社の可能性を真剣に見定め、経営に口出しもします。「共同経営者」のようなものですね。

倒産したら
出資金は原則返済されませんが、会社が倒産した場合は残っている財産を関係者で分け合います。倒産するくらいなので大抵は大損ですが・・・

株主の種類

一口に株主といってもいろんな方がいます。血の通った個人、配当に目をぎらつかせた投資会社、はたまた国家権力・・・あなたが対話すべき相手はバリエーションに富んでいます。ここではざっくりと紹介します。

個人株主

文字通り個人で株を買っている人です。
株は誰でも買えるので、あなたもすぐに個人株主になれます。
ポケットマネーで買う人が大半だと思いますが、中には株だけで生計を立てている人もいます。趣味的に買ってる人から命を懸けている人まで実に様々な方がおり、時には突飛な提案をされることもしばしば。対話の相手としては最も大変かもしれません。

機関投資家

株で儲けることが目的の組織。
銀行・保険会社・証券会社など様々で機関投資家自身が株式会社であることもあります。
プロフェッショナル集団なので、一般人より株や投資に対する知識と経験は優れています。ビジネス上の要求は厳しいですが、「株を通じて儲ける」という姿勢が明確でブレないので、自社の方針がしっかりしていれば対話しやすい相手です。

取引先(持ち合い)

安定株主の一つ。
仲の良い会社とお互いの株を持ち合い、「経営には口出ししませんよ」と暗黙の了解を結びます。株主からあれこれ指図されるのが嫌な会社はメリットがあります。それだけに対話の必要性は小さいですが、宴会という名の対話が必要なことも・・・

銀行

安定株主の一つ。
会社のメインバンク(主にお金を借りている銀行)であることが多いです。普通は財務や経理の人が対応しますので、IR担当者は対話の必要はありません。

親会社

会社に親子関係がある場合、親会社は子会社の株式を持って支配権を行使します。
普通は親子の経営者同士が話をしますので、IR担当者が改めて対話をする必要はありません。

社員(従業員)

社員(従業員)が株主をもったら社員株主。
従業員のやる気をアップさせる効果があります。配当が増えたら自分も儲かるわけですからモチベーションは上がりますよね。広い意味では個人株主の一種ですが、IR担当者が対話をする必要はありません。

社長(会長)

会社のトップ。
トップが株をたくさん持つほど権力が集中しますので、良し悪しはありますが、経営トップの独断で会社を動かしやすくできるといえます。IR担当者が対話をする必要はありません。

国が株主の会社もあります。インフラなどの公共性の高い会社が多いようです。筆者は対話の経験はありませんが、きっと大変なんだろうな・・・

次回

IR活動って実際は何をするの?ってことで次回はIR実務について説明します。

 


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