ゼロから学ぶIR活動その1 ~会社って何だろう?~

IRってなんだろう?いっしょにゼロからIR活動を学びましょう。

はじめに

「君、明日からIR担当ね」えっ、IRって何・・・?

IRInvestor Relations(インベスターリレーションズ)の略。「投資家向け広報」とも訳されます。
文字通り投資家に様々な情報提供を行います。が、プロの投資家は時に自分以上に自社の事を知っていたり的確な分析をしたりします。
そんな投資家に満足いく情報を提供するのは大変。事業内容やら財務諸表やら経営戦略やら・・・押さえておくべき点はいっぱいありますが、会社のいろんな側面が見えて面白い仕事でもあります。
右も左もわからずIR担当になった筆者と一緒に、IR活動について学びましょう。

会社ってそもそも何だろう

IRは会社の活動の一環ですが、そもそも会社とは何でしょうか?
IRを説明する前に、まず会社とは何をする組織なのか考えてみましょう。

会社について
一言に会社といっても実はいろいろな形態があり、法律できちんと定義されています。ここでは営利(儲けること)を目的とした「株式会社」について述べます。
※儲けることが目的ではない非営利の会社形態もあります
以後、当記事で「会社」とは「株式会社」のことを指します。

お金を集めよう

会社は色々な事をしてお金を稼ぎます。(これを営利活動と言います)
車を作って売る、デパートのように商品を仕入れて売る、ゲームを開発して売る、、、、
ただ何をするにも元手が必要です。

モノを作るには工場や機械が必要で、人も雇わないといけません。
デパートならまずは売るための商品を仕入れます。
ゲーム会社の場合まずは売るためのゲームを作るわけですが、ゲーム制作には通常長い時間がかかります。その間もお給料は出さないといけません。(一人で作るなら別ですが)
いずれも莫大なお金が必要ですが、大金持ちでも無い限り中々用意できるものではありません。
そこでまずは元手となるお金を集める必要があります。大きく分けて方法は2つあります。

  • 1つ目はお金を借りる、つまり借金です。
  • 2つ目は株を買ってもらう事。買ってくれた人を株主と言います。
株について
厳密には「株を買ってもらう」というよりは、「お金を提供してくれた証として株式を交付する」が正しいです。この株式が出資の証となり、株主は会社に対して様々な権利を行使できます。

お金を稼ごう

株主からお金を集めたら何をやるか?
それは「金儲け」です。金儲けというとなんだかイメージが悪いですね。
でも会社というのは原理上、「儲け続ける」ことがとても重要なのです。

株主のために儲け続けないといけない!

株主は慈善事業でお金を提供してくれるわけではありません。
会社は預かったお金を元手に一生懸命稼いで、儲けの一部を分け前として株主に分配します。(配当と言います)
この配当を期待して株主は出資するのです。

株の値上がりを期待して出資する株主もいます。安値で買い高値で売って儲けるわけですね(キャピタルゲインといいます)。株主が期待する事項については別記事で改めて解説します。

もし赤字になって儲けが無かったら分け前が払えません。株主は怒ります。
「続ける」のも大事です。配当は今年1回こっきり、来年以降は出せませーんではやっぱり株主は怒ります。
未来永劫儲け続けるのが会社の使命なのです。なかなか大変です。

継続企業の前提
会社とは永遠に継続することを前提にしており、倒産は想定していません。ゴーイングコンサーンともいいます。赤字が続くと会社はつぶれてしまいますから、永遠に儲け続けなければいけないわけです。

会社の理念

ただし稼げれば手段は何でもアリというわけではありません。
ふつう、会社には「こんな形で世の中の役に立ちたい」という理念があり、その考えのもとに営利活動をします。
この考えの事を「企業理念」とか「経営方針」と言います。とても大事なものです。
儲けるためだからといって泥棒や詐欺行為をしたら、世の中の役に立つどころか害になりますし、法的にもアウトですもんね。

ここで世界一のゲーム会社、Nintendoの経営方針を見てみましょう。

“当社グループは、ホームエンターテインメントの分野で、健全な企業経営を維持しつつ新しい娯楽の創造を目指しています。事業の展開においては、世界のユーザーへ、かつて経験したことのない楽しさ、面白さを持った娯楽を提供することを最も重視しています。”

なるほど。この方針のもとに世に商品やサービスを送り出してるのですね。
それが結実したもののひとつが2017年に発売されたゲーム機Switchであったりするわけです。

任天堂の歴代ゲーム機は他メーカーと一線を画し独創性に富んでいました。Switchもご多分に漏れず、独特なフォルムと機能にゲーマー諸氏は発表当時「これ売れるのか?」と心配したものです。
しかし蓋を開けてみれば発売後は品切れ続出で大変な人気となりました。”かつて経験したことのない楽しさ”が評価されたんですね。筆者も持っていますが存分に楽しんでおり、任天堂の理念が実現した一例といえるでしょう。

ところで自社の理念や経営方針って知ってますか?
見たこともねーよって方は一度確認してみて、自分の会社が理念に沿って活動しているか想いを馳せるのも良いでしょう。

会社は誰のモノ?

「会社は社長のモノ」・・・そんな風に考えていた時期が筆者にもありました。
でもこれ、違うんですね。

会社は色んな人や組織が関わって成り立っています。

ステークホルダー

関係者は何らかの形で会社と利害関係にあり、この利害関係者をステークホルダーといいます。
社長は会社にとって「経営する人」という一要素にすぎません。
「お客さん」や「働く人(社員)」がいなければモノを作ったり買ってもらったりできません。
そして「株主」がお金を提供してくれるから会社は活動できるのです。

そう、「会社はみんなのモノ」なのです!
・・・と言いたいところですが、これには世の中色々な意見があるようで今だ論争中のようです。
法的な観点でいえば、出資した「株主」が会社の所有者ということになります。お金を出した人がエライのです。
でも筆者もイチ会社員として多少なりとも愛社精神はあるし、株主の所有物と割り切っちゃうとモチベーションが下がるので、とりあえず当サイトでは「会社はみんなのモノ」として話を進めます。

まあ、少なくとも社長の個人所有物じゃありませんね。(社長が大株主だったら話は別ですが…)

まとめ

  • 会社は経営理念に基づいて活動している
  • 会社はずーっと稼ぎ続けないといけない
  • 会社はみんなのもの

 

次回は、IR活動が何故必要なのか?について考えてみます。