ゼロから学ぶIR活動その4 ~どんな仕事があるの?~

IR活動って実際どんなことをやるの?ゼロから学ぶIR活動、今回はIR担当者の実務について説明します。

前回の記事で株主について大まかな理解はできたと思います。今回は実務についてです。

対話の心得

IR活動における実務とは、投資家との対話です。
筆者の個人的主観ですが、投資家との対話において大事なのは以下の3つです。

  1. うそをつかない
  2. なぜ、そうなったのか?
  3. これからどうするのか?

※念のため言っておくとあなた個人だけではなく、会社の姿勢として大事ってことですからね。

1.うそをつかない

投資家との信頼関係を築くためにも、嘘を言ってはいけません。
当たり前だろ!って話ですが、会社って都合の悪いことを胡麻化したり、自分を良く見せたりしがちです。ありがちなのが将来の話です。来年はどう?→売上倍増です!のように出来もしないのに良く見せようとしたり・・・

2.なぜ、そうなったのか?

結果に対しての説明責任です。
例えば赤字になったとして、「頑張ったけど儲かりませんでした…」では株主は納得しません。
なぜ、赤字になったのか?をキチンと説明しなければなりません。当然赤字に至った分析は必要です。

3.これからどうするのか?

未来のビジョンです。
あなたの会社がこれからどうするのか?はとても大事です。
株主は会社の将来を見込んで投資をしています。ある意味結果より重要視しています。
上の例の続きですが、赤字になったものは結果なので変えられません。しかしこれからどうやって挽回するのか?は会社の意思で決定できます。株主はその点を知りたいのです。

活動の内容

実際にIR担当者はどんな仕事があるのでしょう?おもな活動内容について説明します。

株主総会

最大の対話イベントで、会社の重要な決め事を決定します。
IR担当者は資料作成、想定問答の検討、会場手配、参加者の招集などを行います。
やることがたくさんあって中々大変ですが、1度に多くの投資家へ説明できるのがメリットです。
年1回実施しますが、緊急の決め事がある場合は臨時株主総会を開くこともあります。

決算短信・有価証券報告書

会社の業績を報告する文書で、成績表みたいなものです。短信や有報と略されます。
年4回(3か月ごと)発表します。上場会社は公開が義務付けられています。
株主はこれを見て会社の現状を把握します。
普通は経理や財務の担当者が作成しますが、IR担当者は内容を把握しておく必要があります。

決算説明会

決算内容を説明する場で、機関投資家やアナリスト向けのものです。
開催義務はありませんが、プロ投資家との対話の場として重要性は高いです。
参加者は短信と有報を読み込んできますので、質問の内容は濃いです。
会社にもよりますが年1~4回行います。
説明自体は会社のトップが行います。
IR担当者は資料作成、想定問答の検討、会場手配、参加者の招集、等々。
株主総会と同じくやることがたくさんあって大変ですが、あくまで説明会なので多少は気が楽かも。

個別面談

こちらも機関投資家やアナリスト向けのもの。
イチ投資家に対してより深く会社を理解してもらえることがメリットです。

インベスターズガイド

投資家向けの会社案内です。「投資家の皆様へ」等の名前であることも。
内容は会社によりさまざまですが、会社の経営方針・事業概要・直近の業績・将来の見通しは載せるべきでしょう。
IR担当者は内容の企画・作成を行いますが、デザインや製本は専門業者にお願いすることもあります。
決算後に年1回発行します。

質疑応答

株主から電話やメールで質問が来たら対応します。
個人株主含め投資家全員が相手となるので、幅広い対応力が求められます。

全体を通じて

会社の姿勢は一貫しておくことが大事です。担当者によって言うことが違っていたら問題ですからね。想定問答集など、文書化して共有しておくことが望ましいです。
それとわからないことは無理に答えず、素直に分かりませんと言いましょう。
その場でわからないことは後で調べて回答すればよいのです。不確かな情報を提供しても双方良いことはありません。
うっかり答えた内容がそのまま世に出たら取り返しがつきません。

次回

IR担当者は自分の会社の事をよく知っている必要があります。次回は有価証券報告書と短信を読み解くのに必要な財務諸表について紐解いてみます。